アマルガムは、むし歯を治療したあとに詰める保険金属の一種で、正式名を「歯科用水銀アマルガム」といいます。アマルガムは健康保険の適用材料として国に認定されており、1970年代にむし歯治療をした人に多く使用されていました。
以前に奥歯の虫歯を治療したことがあり、そこに銀色の詰め物がある場合、それは、アマルガムの可能性があります。上の写真を参考に、あなたのお口の中にもアマルガムが入っていないか、鏡でチェックしてみてください。
アマルガムは、50%の水銀を含む金属です。(あとは銀35%・スズ9%・銅6%・少量の亜鉛でできています。)水銀が体に及ぼす問題がニュースなどでも大きく取り上げられていますが、それと同じ水銀が、あなたの口の中にも入っているのです。特に口の中に入っている金属はいつも一定の高温の状態で、しかも唾液という水分に常に触れています。雨ざらしの鉄がさびやすいのと同じで、アマルガムも、お口の中で劣化し、腐食し続けるのです。
アマルガムが腐食するのは、唾液が電解液として作用するからです。また、アマルガムは食べ物を食べる時などにその摩擦熱で、水銀を含んだ蒸気を発するともいわれます。長い間にアマルガムが劣化し、腐食したアマルガムや水銀の蒸気を体内に流し込み続けると、無自覚のまま体に吸収され、内臓に蓄積されていきます。
アマルガムに含まれる水銀は、あなたにこのような悪い影響を及ぼす可能性が指摘されています。
イオン化した水銀が体内に入り、たんぱく質と結合すると、それによって過剰反応が引き起こされ、金属アレルギーの症状を起こすことがあります。アトピー性皮膚炎のような皮膚の炎症や、手のひらや足の裏などにできる掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)という、水泡状の湿疹が繰り返しあらわれたりします。
水銀は神経毒性の強い金属です。全身にあらわれる、不定愁訴と呼ばれるさまざまな不快な症状――頭痛、肩こり、腰痛、ひざの痛み、不眠、イライラ、めまい、アレルギー、原因不明の痛み等――は、お口の中のアマルガムが原因の可能性もあります。実際、アマルガムを除去することで症状が改善したケースが当院には多くあります。
また、妊産婦の場合、水銀が胎児や母乳にまで届いてしまう怖れがあると言われています。胎児は乳児は大人よりもその影響を受けやすく、海外では非常に問題視されています。イギリスでは、1998年4月、厚生省が妊婦にアマルガムの詰め物をしないように警告を発しました。医療先進国のスウェーデンでも、1987年に政府が同様の発表をしています。
あなたがアマルガムを除去したいと思ったときに、注意していただきたい点があります。 歯科医院でアマルガムを取る時、アマルガムを削ります。つまり、水銀がその時に飛び散るということを忘れないでください。
体のことを思ってアマルガムを除去しようと思っても、除去する時に飛び散った水銀を大量に体の中に取り込んでしまっては意味がありません。
アマルガムを除去する時には、患者さんの口に削った水銀が口に飛び散り、誤って飲み込んでしまわないよう、ラバーで口の粘膜をガードしてアマルガムを除去します。他にも、削ったアマルガムを吸引する際に2種類の器械を使い、体を守るために万全の体制でアマルガムを除去します。